影絵人形劇とは

影絵劇(影絵芝居)とは、人形や手の影をスクリーンに映し、セリフや音楽に合わせて演じるお芝居です。

古くは、2000年以上前から中国にあったという記録も残っています。当時は、神を降ろす降神術(こうしんじゅつ)、祈祷(きとう)、占いという意味合いで行われていたそうです。その後、次第に芸として、娯楽として広がり、現代も世界各地に残っています。インドネシアのジャワ島やバリ島には「ワヤン・クリ」と呼ばれる影絵劇があります。「ワヤン」は「影」、「クリ」は「皮」という意味で、牛の皮を用いた人形を使用するのだそうです。トルコを中心とした中東には「カラギョズ」と呼ばれる影絵劇があります。「カラギョス」とは劇中に登場する主人公の名前だそうです。その他、インド、マレーシア、タイ、ミャンマーなどでも影絵劇は行われています。またヨーロッパでは18世紀後半ごろ、東洋からの影響で影絵劇に対する関心が高まり、フランスやイギリス・ドイツなどで影絵劇が楽しまれるようになったそうです。

日本では、江戸時代初期ごろから影絵は親しまれていたとされていて、伝統的な遊びとして「手影絵」、影絵を使用した「回り灯籠(とうろう)」などがあります。また、両手で持てるサイズの幻灯機(げんとうき)を使用して、単に写すだけではなく、動きをつけた「上方・錦影絵」「江戸・写し絵」と呼ばれる影絵劇が庶民の娯楽として親しまれていたそうです。

影絵劇(影絵芝居)はとても長い間、多くの場所で多くの人たちによって楽しまれてきた娯楽なんですね。

数ある影絵劇の中、影絵劇団「打ち出の小づち」は、こだわりの手作り人形を使った影絵人形劇を行います。日本最大の人形劇の祭典「いいだ人形劇フェスタ」での公演、文化庁「芸術家の派遣事業」による公演などを行っています。

影絵の魅力

気軽にできる

昔から親しまれてきた影絵。
家の障子を使って手影絵を映したり、晴れた日には影踏みをして遊んだり…
影絵は大掛かりな道具を使わず、気軽に楽しめる遊びなのです。

想像力を使う

影絵は、想像力を使う娯楽です。
便利な世の中になり、分かりやすい情報があふれる昨今ですが、
影絵は観る人それぞれによって感じ方、考え方が違うのです。

家族みんなで楽しめる

影絵の仕組みは難しいものではありません。
複雑な道具を使うわけでもありません。
老若男女、年齢・性別を問わず楽しめるのです。

影絵劇の作り方

影絵劇は、3つのものがあればできます。
ひとつは「あかり」。二つめは「スクリーン」
そして、三つめは「人形」もしくは「手」です。

まず光を発する「あかり」が必要です。
一番身近なものでは懐中電灯(スマホの懐中電灯機能)が使えます。
晴れた日なら、太陽の光も良いですね。
ただし、蛍光灯は平行光ではないため、影絵には向きません。

次に、影を映す「スクリーン」が必要です。
障子が最適ですが、
障子のないご家庭では白いシーツが使えます。

そして、影にする「人形」もしくは「手」が必要です。

あかりで人形や手を照らして、スクリーンに影を映すと影絵劇ができるのです。

このときに一番注意しなくてはいけないのは、影を映し出す光を際立たせるために部屋を暗くするということです。その他の光があると、影が薄くなったり、影の輪郭が薄くなったりしてしまいます。影絵劇をするときは、カーテンを閉めて、部屋の中を暗くしましょう。

影絵人形の例

このような人形を使います。

割りばしと輪ゴムで作る影絵人形

こんな人形も使うことができます。
割りばしと輪ゴム、あとは厚紙、テープだけで作っています。
おうちでも作ることができますので、ぜひチャレンジしてみてください。

割りばしと輪ゴムで作る影絵人形